2013/09/25

 『サンディング』=リム表面を削る加工ですが、どの程度荒く削るか?が重要です。 「とにかく荒く削ればブレーキの制動力が上がる」というわけでは無いので、目的に合った加工をしてやって下さい。。

アルマイトがかかったままの状態。
これだって水や大量のホコリが付着しない限り、ブレーキシュー次第で十分な制動力が得られます。
軽めの加工でアルマイトを落とした状態。
GDRではグラインダー(ディスクグラインダー=ベビーサンダー)に紙ヤスリ状の歯を取り付けて加工してます。

アルミの地肌(素地)に対してブレーキシューが接触する事で、アルマイトがかかったままの状態に比べてコントロール性が格段に向上します。ブレーキシューによっては、制動力も高くなりますね。

表面が滑らかなので、 水や大量のホコリが付着すると制動力が落ちます。
そもそも、「サンディング」とはリム表面のデコボコを滑らかにするための加工。
リムの表面が凸凹だと、ブレーキをかけた時にきき具合が変わったり、リリースする時にスカっとブレーキが抜けたりするのを改善する為の加工でした。加えて、「アルマイトや塗装された状態より、アルミ素地の方がコントロール性が良い」という事で普及した加工。

やってるうちに、「リム表面がザラっとしてる方が、摩擦が強くてブレーキの制動力が上がる」という事で、もう少し荒目の加工が流行しました。
ということで、リム表面を荒らしたのが→右の写真。
GDRではグラインダーに砥石を取り付けて加工してます。 表面が少しギザギザして、爪を研げる程度ですね。
水やホコリが付着しても、ギザギザの谷間に逃げてくれるので、自然地形の中で乗っても安定した制動力が得られます。

トライアル用として販売されているブレーキシューが一番性能を発揮しやすい状態=通常の状態だと思ってます。
さらに表面をザラザラに…という事で、ノコギリの歯等で荒目に削った状態。 肌を当ててこすると痛みを感じる位の荒さですね。
金ノコギリを使用するのが一般的ですが、加工する時はノコギリの歯を斜めに当てて、歯の角でゴリゴリと細く深い傷をつけます。

これだけやれば、どんなブレーキシューでもある程度以上の制動力を発揮します。現代の様な高性能なブレーキシューが存在しなかった10年前は、この加工が標準でしたが、現代のブレーキシューには不向き。

「土の地面+ウェットコンディションで、ヌタヌタの中を走る」という状況でなければ、この加工を行う必要は無いと思ってます。

荒目の加工を行うと面倒事も多いですしね。(詳しくはコチラ

単純に「摩擦を大きく・強く」と考えるのであれば、荒目の加工の方が向いているのは確かです。でも、現代のブレーキシューの多くは、摩擦のみで制動力を得ているわけではありません。摩擦力+ゴムの吸着力、ですね。
「吸着力」を考えた時、ブレーキシューとリム表面の接触面積は多い方が良いので、リム表面のギザギザはあんまり尖ってない方が良いという事になります。ということで、「爪が研げる程度の加工が通常の状態」と考えるわけです。

トライアル用のブレーキシューを使用しても、通常のサンディングではブレーキがきかない…という事はありません。「どうしてもきかない」という場合、ブレーキの整備不良や、長期間洗車をしない/リム表面を素手でベタベタ触る等でリム表面に油が付着している事を疑って下さい。


ちなみに…。
海外のトップ選手もグラインダーでリムを削るのが一般的です。中には、グラインダーを回転させつつ、リムにガッツンガッツン叩きつけてるライダーもいます。少々凸凹があった方が「ガツン」と止まる♪という事なんでしょうけど…。「ブレーキのフィーリングが変わっても対応するから良い」というライダーさんは良いだろうけど(自分もそうですが)、神経質なライダーさんは絶対乗れませんね、あれだと。

 サンディングの程度