2013/05/03

 ブレーキの制動力を高めるのに有効なサンディングですが、良い事ばかりとは言えません。
サンディングを施す事のデメリットと言うか、面倒事を書いておきます。

●一度荒めのサンディング加工を行うと、辞められなくなります。

 中毒性があるので辞められない…というわけでは無いですよ。

サンディングは、使っていると徐々に落ちてきます。 落ちる=尖っていた山が削れてくる⇒制動力が下がる、という事ですね。
最初のサンディングが軽めの加工(=山がそれ程立っていない加工)であれば、サンディングが落ちても特に問題はありません。
軽めのサンディングでも、サンディング無しでも、どちらでも使えるブレーキシューであれば、そのまま使えたりもします。

軽めのサンディング加工をしておいて、落ちたら放ったらかし。水やホコリが付着する自然地形でのライディングの時は、また軽めの加工を行って、しばらく放ったらかし…と、個人的にはこんな具合で使ってます。

荒めの加工を施すとどうなるか?ですね。
まず、単純に以下の問題が出てきます。

1.ブレーキシューの消耗が早い。

荒めのサンディングをかけて坂道をダーっと下って、速いスピードからブレーキング!…なんて使い方をすると、ブレーキシューはすごい勢いで減っていきます。
また、ブレーキの「ブーブー」「ギューギュー」といった音も大きくなります。

2.リムの消耗が早い。
リムのサイドウォールの厚みは1.5mm程度。荒めのサンディングを何度もかけて良い厚みではありません。
サンディングを行なえば行なっただけ、リムは薄くなり、強度・耐久性を損なっていきます。特に、最近では主流となりつつある「シングルウォール」のリム等は、サイドウォールが弱くなるとリム全体の強度・耐久性が格段に下がります。

上記2点に加えて、一番の問題となるのがこちら↓

水やホコリが付着する環境で使用すると、サンディング加工は簡単に落ちます。ブレーキシューの削れカス、リムの削れカスに加えて、水や砂が混じる事でネバっこい異物(通称:ネリー)が生まれ、これがサンディング加工のギザギザの谷間の部分に詰まります。

こうなると、リム表面の何%かはネリーに覆われた状態、ブレーキシューのゴムとリムのアルミが接触する面積が減ってしまい、制動力は「サンディングをかけていない状態」よりも下がってしまいます。

こうなると、ワイヤーブラシなどでネリーを取り除く作業を行うか(←結構タイヘンです。)、またサンディング加工を行なうか?という選択を迫られます。
結局、手間と制動力のバランスで、再度荒めのサンディング加工をかける事になるので、手間はかかる、リムはどんどん薄くなっていく…というスパイラルにハマります。、

でも、それを承知で荒めの加工を施すライダーさんの真意は?

 例えば競技の中であれば、「水に濡れても泥がついても、安定した制動力を発揮してほしい!」というのがライダーの基本的な気持ちです。どんな状況でも安定した制動力を発揮させたい、というライダーさんであれば、荒めのサンディング加工を行うのは当然の選択と言えます。(リムが減っていくのも理解の上で、ですね)

「どんな状況でも…」と望むので無ければ、荒めのサンディングはやめておくべきでしょう。
「荒めのサンディングをすれば 制動力が増す」というのは事実ではありますが、現代の高性能なブレーキシュー、それも「サンディングしていないリム向け」「軽めのサンディング向け」とリムの状態に合わせたブレーキシューを選べば、ブレーキが効かないなんて事はありえません。

「ブレーキが効かない!」と嘆いているライダーさんの多くは、長らく洗車していないか、ブレーキが100%機能していないかのどちらかです。経験上。


サンディングは制動力を増すのに効果的な加工である事は間違いないです。
ただし、どの程度行なうか?は、「ブレーキに何を求めるのか?」をじっくり検討してから行なって下さい。

 荒めのサンディング加工の注意点